アスベスト(石綿)関連疾患

日本では長年にわたって、かつ大量に建物にアスベストが使用されてきました。主に、吹付け材や保温材としてや、外装材、内装材に使用されたボード類等の建材としても使用されています。

現在はアスベスト粉じんが及ぼす有害性が明らかになったことにより使用が禁止されていますが、今後、建物の解体や改修工事によって、飛散・拡散するおそれがあります。2028(令和 10)年前後には、物解体工事のピークが訪れると推計されており、大きな社会問題となっています。

アスベストを吸い込むと気管から気管支、さらに肺の一番奥の肺胞にまで入り込み、排出されず体内に滞留します。

そのことが原因で、胸膜や肺に病気が発症したり、「がん」が発生するなど重篤な健康障害を引き起こします。

また、アスベストを大量に吸入したことによるじん肺を「石綿肺」といい、強い肺機能障害を引き起こします。

アスベスト関連疾患は、それを吸ってから 20 年から 30 年以上という長い潜伏期間のあとに現れます。

被害は、取り扱っていた本人だけでなく、作業着などを洗濯するご家族、工場周辺に住む住民へも健康障害を引き起こします。

アスベスト被害の多い職種

  • 石綿含有製品製造工
  • 石綿吹付け工
  • 大工
  • はつり・解体工
  • 鉄骨工
  • スレート屋根工
  • 保温工
  • 空調工
  • 配管工
  • セメント工ブロック工
  • タイル工
  • 板金・塗装工
  • 左官工
  • 床・内装工
  • 電気工
  • 造船工
  • 鉄道関係
  • 輸送関係
  • 港湾荷役
  • 自動車修理
  • 産廃処理

など

石綿健康管理手帳

アスベストを取り扱う業務に従事していた労働者は、以下の要件が満たされれば都道府県労働局に健康管理手帳を申請することができます。これにより6か月に1回、無料で健康診断を受けることができます。

  1. 両肺野に石綿による不整形陰影があり又は石綿による胸膜肥厚があること。(直接業務又は周辺業務が対象)
  2. 次の作業に1年以上従事していた方。(ただし、初めて石綿の粉じんにばく露した日から10年以上経過していること。)(直接業務のみが対象)
    • a.石綿の製造作業
    • b.石綿が使用されている保温材、耐火被覆材等の張付け、補修もしくは除去の作業
    • c.石綿の吹付けの作業又は石綿が吹き付けられた建築物、工作物等の解体破砕等の作業
  3. 2の作業以外の石綿を取り扱う作業に10年以上従事していた方。(直接業務のみが対象)

被害者の救済制度

アスベスト被害者の救済制度は、労働者や特別加入者(一人親方)が対象となる「労災補償」と労働者以外を対象とした石綿健康被害救済制度(石綿救済法)による「救済給付」があり、2022年(令和 4)年には、新たに「建設アスベスト給付金制度」が創設されています。公務員に対しては「公務災害補償」があります。

それぞれ補償内容も請求先も違うことから、「むかし、アスベストに触ったことがあるな…」と心当たりがあったり、身体に異常を感じた場合は十分な確認が必要です。

「労災補償」の対象疾患は、中皮腫、肺がん、石綿肺、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水であり、それぞれに認定要件が定められています。「建設アスベスト給付金」は基本的に「労災補償」に準じた内容となっています。

また、「救済給付」の対象疾患は、中皮腫、肺がん、著しい呼吸機能障害を伴う石綿肺、著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚となっており、制度間に格差もあります。

  • ◎確定診断があれば認定
  • 〇認定基準を満たせば認定
  • ▲著しい肺機能障害があり、認定基準を満たせば認定
  • △厚生労働省本省協議 ×救済対象ではない

※「石綿による健康被害の救済に関する法律」により、石綿ばく露を原因とする疾病により死亡した労働者のご遺族で労災保険法の遺族補償給付を受ける権利が時効により消滅した方に対し、特別遺族給付金が支給されます。

建設アスベスト給付金制度

石綿にさらされる建設業務に従事した労働者・一人親方・中小事業主の方で、 石綿関連疾患の診断を受けられた方々へ損害の迅速な賠償を図るための制度です。

ご本人が亡くなられている場合には、ご遺族からの請求が可能です。

対象になる方

石綿ばく露業務

  • 昭和47年10月1日~昭和50年9月30日石綿吹付け業務
  • 昭和50年10月1日~平成16年9月30日建設現場での屋内作業

石綿関連疾病

  • 中皮腫
  • 肺がん
  • 著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚
  • 石綿肺(じん肺管理区分が管理2~4)
  • 良性石綿胸水※石による病は、石を吸ってから長い 間の後に発症する ことが大きな特徴です。(中立:20~50年、がん:15~40年)

給付金

①石綿肺管理2で、じん肺法所定の合併症のない方550万円
②石綿肺管理2で、じん肺法所定の合併症のある方700万円
③石綿肺管理3で、じん肺法所定の合併症のない方800万円
④石綿肺管理3で、じん肺法所定の合併症のある方950万円
⑤中皮腫、肺がん、著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚、
石綿肪管理4、良性石綿胸水である方
1,150万円
⑥上記①、③により死亡した方1,200万円
⑦上記②、④、⑤により死亡した方1,300万円

「じん肺法所定の合併症」とは、肺結核・続発性気管支炎・続発性気管支拡張症・続発性気胸の 5 つの疾病です。

条件等により減額される場合があります。